キラリと輝く関西企業『山本富造 社長』
『日本経済新聞』1999.12.22より
 

石灰石を原料に独白の合成ゴム素封をつくる『山木化学工業』。
ユニークな発送で新たなニーズを次々開拓、国内外て取得した特許は百件を超すという。
ウェットスーツでは世界一のシェアを持ち、マリンスポーツの大衆化にも貫誠した。
飛行機や自動車、メディカル分野などにも新素林を提供して注目されている。
山本富造社長に将来への夢などを聞いた。


代表取締役社長 山本富造氏
1959年大阪市生まれ。
81年3月近畿大学商経済部経営学科卒業、山本化学工業入社。
84年実父の跡を継ぎ、社長に就任。
その間、米国フロリダ州立国際大学に留学、多国籍企業論を学ぶ。
趣味の小林寺拳法は4段、ほかにサーフィンを楽しむ。
好きな言葉は「拳禅一如」。

一一合成ゴムの素材メーカーということですが、
御社のセールスポイントを簡単にお話しください。


大阪で言う「初物食い」でしょうね。
常に時代の変化を敏感にとらえ消費者ニーズにマッチした
商品のアイデアを出し、そのための素材を提供してきました。
一時代前は脱脂粉乳の乳たんぱくをベースにしたボタンをつくっていました。
戦後は消しゴムを手がけましたが、
消しゴム付きの鉛筆を考案して大ヒットさせました。
ゴルフのツーピースボールを初めて考案したのも我が杜です。
そのための合成ゴムの芯(しん)を供給しました。
その特許は大手ゴルフ用具メーカーに譲渡しましたが、
ゴルフボールの質の向上に随分貢献しました。
昭和三十年代の後半から石灰石を原料にして合成ゴムをつくり、
いろんな用途に素材を供給しています。
中でもウェットスーツ(潜水服)の分野では世界一のシェアを持っています。

一一その合成ゴムの特撤は。

まず原料に純度が極めて高い良質な石灰石を使っていること。
それに我が社が長年蓄積した技術を基に
米国のスポンジ製造技術をヒントにして、
新たに気泡を細かくする二段階発泡技術を開発して、
超軽量で滑らかなラバー素材づくりに成功しました。
最初は海女さんが着やすく体にフィットする
ウェットスーツ用のラバーづくりが狙いでしたが、
その後ダイビングなどマリンスポーツ用の需要に対応してきました。
女性用のカラフルなウェットスーツも登場するようになり、
ラバー素材にも工夫・改良を加えてきました。

今では合成ゴムの表面にチタン合金を伸縮する状態で
コーティングしたものをつくっています。
従来は2ミリから3ミリあったウエットスーツが、
0. 5ミリぐらいの薄いものまでできるようになりました。
軽くて脱着しやすいばかりか保湿性も抜群、
しかも締め付けられているという感触がほとんどありません。

一一ウエットスーツ以外ではどんな分野がありますか。


きめ細かい独立した無数の気泡体でできている当社のラバーは
ゴルフのハニカムグリップとしても最適です。
従来のソリッドグリップより手のひらの接触面種が大きくなるから、
ゴルファーのパワーが最大限に生かされます。
しかも軽量だから、どんどん進んでいるゴルフクラブの軽量化にぴったりです。
シャフトやヘツドを軽くするには全体のバランス上、
グリップも軽くしないといけませんからね。

さらに飛行機や自動車、鉄道車両などの外壁と内壁の間に使われる
振動を防ぐ緩衝材としても注目されています。
今後、自動車のボディーは燃費を軽減するため、
重い鉄板から合金や樹脂に変わり一段と軽量化していくでしょう。
緩衝材も軽量化と同時に強度が要求されます。
我が社はそうした時代のニーズに対応した軽量と強度が
二律背反するというゴムの性質を克服した新しい素材を開発しました。
世界最強といわれる米国の戦闘ヘリコプター「アパッチ」や
欧米の有力航空機や車両にも我が社のラバー製緩衝材が使われています。

一一緩衝材は21世紀に向けて有望な製品に育ちそうですね。

21世紀といえば、いま医療の分野で話題を呼んでいる新素材
「バイオラバー」に期待しています。
「バイオラバー」はゴム素材に特殊な加工を施すことにより
人体に好影響を与える波長の電磁波を発するものです。
「バイオラバー」から放射される電磁波を人体が吸収することにより、
体を構成している細胞が活性化されていき、
内蔵や神経などが健康なバイオリズムを維持するように
強力にサポートするものです。
歯の治療では診察いすに「バイオラバー」のマットを敷き患者を寝かせると、
電磁波(赤外線)の温熱効果で血流が良くなり患部のうっ皿状態が小さくなって
治療効果が上がるという報告が、この11月の歯科学会で発表されています。